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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

十二月五日

きっと、暫くたつと元のように威張るだろう。一寸した力のめりはり。

夜、四八度

十二月五日(火曜)晴

「スーラーブ」。一の後の方を書きなおす。今度はよい。

朝、鈍卵色に黒藍色のあやしい空から、パラパラと霰が降った。自分はバラが気になった。がすぐやむ。

午後、新らしい女中、来る。此でやっと安心なり、それでも何だかうしろにかげを引いて居るような女で心がかりなり。恋人や何かのあるのはよいとしても、それがはっきりわかり、どう云う状態になって居るかしれないと不安な心持がするのだ。まつ夕食後大さわぎをして金沢の家に行く。良人になる男が荷物をとりに来る。どんな心持で行ったか。新らしい女はてると云う。二人で話し、まつが写真か何かをやって居るらしい声がした。なかなか単純で面白いところがある。

夜は三畳の方に電気を引いたり何かさわぎて暮す。

あいまに、夏目さんの文学評論をよみ、得るところ多くあり、心づくこと。

暫く小説を書かないで居て筆をとると、始めの間は、妙に頭が大まかで、叙景にしろ、描写にしろ細かく適切に出て来ない。がまんしてやって居ると、段々頭の細まで活動し始め、隅々までちゃんと行届くのである。