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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

十二月六日

故に、技巧上のこと、表現のことから云えば、いつも書いて居なければいけないことは明かだ。書きすぎれば又、なかみが軽くだめになる。

昼。五十度。

十二月六日(水曜)晴

「スーラーブ」(二)

てる、静かにして居て女らしい故仕合わせなり、する丈のことをしてくれればよし。

二三日前から、万有還銀術の鳥羽翁のところに研究に出かけて居た九大の丸沢博士が、その成功は、助手の何とか秋一と云う男の詐欺手段であったことを発見したと云って、新聞はさわぎになった。助手の男が、フイゴか何かの中に銀を入れ、そら出た、そら銀になったと云ったのだ。丸沢博士は、遙に九州から来、川口署か旅舎かで、対決――秋一と――すると云い、ひどく意気込みや、度をはずしたように見える。私の心持で行くと、学術的に興味を以て研究し、それが詐欺では成就するが真個には駄目だとわかれば、駄目だったか、と、どこまでも学者の態度を失わないで結着をつければよいのではないかと思われる。対決とか何とかさわぐと、研究の動機がまるで世俗の慾から出でもしたようで、傍の見る眼も苦しい。

夜食後、八畳に行くと、Aシリアスな話があると云う。