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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
三月七日
三月八日
ゲーテの青年時代に解釈されて居た芸術の内容と云うもの、価値に対する観念は、少くとも理論に於ては、如何に現代が進歩をとげて居ることだろう。
夜、Aの仕事、
三月七日(火曜)雪
朝、一寸床を出たら寒くなり困った。と思ったら雪が降り積って居るには驚いた。寒中の雪のようにこまかくサラサラとこそして居ないが、沈丁花の花や梅がすっかり雪に閉されてしまった。自分の仕事も仕事だが、Aのが片づかなければ結局同じだからやってしまうことにする。
頭が明せきでないのか、Aは自分の主義さえ明にしない文を書く。
女性が家庭生活の甘美、又潔らかさと云うようなものにセンチメンタル又は、架空的な先入主を持って居ると云うことが幾何かのよい家庭を作って居ると同時に、いくばくかの才能を無駄に浪費して居る。
家庭生活と云うものが自分にとっては、もっとも密接なフレンドシップの共力と云う以上、エンタイア・デボーションは感じられない。
三月八日(水曜)晴
三四寸積った雪も、流石春の淡雪で、もうとけ、雨だれの音がしずかに聴える。
仕事のこと。種々な意味で目先のことばかり考えて居たのでは駄目だ。テーマにしろ、技巧にしろ。