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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
四月六日
墓を見るのにも一銭、宝物遺物を見るのも七銭とか出来る丈、かどかどで金をとろうとする工面。墓を見、モーモーと立つ線香のけむを見、内匠頭一人のために、此丈の人間が死んだことを思い、その死人のおかげで金をとり、名物になって居るのを思うと、妙に、不快な心持がした。
偶像崇拝とでも云うのか、あれ丈の人間だって、大抵は話しのたねに見て廻るのだと思う。
国男さん、いよいよ美術学校建築科本科に入ったよし何よりよろこばしい。結構結構。
若し万一だめなら外国に行くかと思うと、今日の午後は心が怪しく曇って居た。外国に行くのはよいが、面目ないような動機ではたまらない。
きみ、祖母がかえると云って、夕刻からとまりがけで会いに行く。
四月六日(木曜)曇
きみ朝戻って来る。夕方から林町へ行かせなければならないから、又当分出られない。それで三人で第一会場を見に行く。万国街が当だ。Aが気をせかせ、あまり注意せずに札を買ったので、立ったままろくに見るものも見られなかった。ボーデビルのようなもの、埃及の筋肉顫動ダンスを見て、すさまじい気はするが自分は別に何とも思わず、Aは、ひどく下劣だと云う。