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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
四月十日
やかましいのがさわり、脳溢血でも起されては大変だと思うので皆をかえし、ゆっくりやすませる。大したことはないらしい。先ずよかった。東京へ幾年振りかで出、もう三四日でかえろうとする時、行き倒れになったりしたのではたまらない。
四月十日(月曜)晴
A、学習院卒業式出席。
珍らしくフールドレッスにシルクハットをかぶった姿を見、自分は云い難い感を得た。
彼がモーニングでも着て居るときにはいかにもしっくりと似合い、体も、持って居る丈の大きさにのびのびと見える。ところがドレッスなどをきこむと、却って大きくなるどころか小さく見え、貧弱に精神薄弱と云う感を起させるのだ。
フールドレッスがしっくり合う人間ではないのか
モク猴の冠?
衣服が人格を反映することの大きさは、敏感なものにとって趣味以上ではないだろうか。
トルストイが、衣服は精神を支配する。ユニフォームは、最も完全な箇性滅却法だと云ったのをいまでもはっきり覚えて居る。一つの型の日本服をまとった日本の女は、どうしてもその型を心の上にも脱せられないのか。
夜、銀座に三人で出かけ、おみやげものを買う。
四月十一日(火曜)雨