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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

四月二十五日

四月二十六日

四月二十七日

自分はそれなら、何によって、彼とつながって居る。可哀そうさ、自分がなければ、何になるか判らない弱者への恐怖的愛? 馬鹿な子ほど可愛い、と云う心持、卑小なる良人ほど可愛いか? あわれ、あわれ。

日常生活をインフェリオルなものとして居ると、自己肯定が多くなる、何よりの危険。総ての偉大だった人々の魂! どうぞ自分を護り正路を歩かせて下さい。知らないうちに一人よがりになり、曖昧になり、おさまるかと思うと、死ぬ如し。

四月二十五日(火曜)晴 風強

青山離宮を見る。立派。と云うのだろう。しかしマテリアルがよく手がこんで居る丈でインスピレーションが一寸もないから美の感なし。

四月二十六日(水曜)晴

ひどい地震。ただ独りではっと思い、家がつぶれるか、何処へ逃げよう、

Aは帰って来られないし、と瞬間に考える。横浜で死者。震幅一寸と云う。

四月二十七日(木曜)晴 七十二度

自分はどうにかして、一つの可なり広い部屋を、自分丈のものとしよう。

二つつながった机は、彼と読書、手紙などを書いたりするに使い、部屋は、全く創作のため。其処に絵、音楽、愛する芸術家の像を置こう。すきな丈心を飛ばせよう。