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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
五月九日
五月十日
『新小説』、近藤栄一、やまとたけ尊。よい、男らしい把掴力のしっかりした、愛のある処があり、変にペタクタしない筆致も快い。女には、何としても、ああ云うものは、書き難いな。
『中公』、「墓を発く」。自然主義の影響のある細筆。光彩乏し。
五月九日(火曜)雨 曇
『女聖』に原稿を約束したのが辛くなる。が、今度、ねっきりはっきり此っきりで、此は書かなければなるまい。自分が一旦自分で約束して、内心の変化があろうとも、そう雑作なく相手にめいわくをかけてはいけない。
夕刻、そろそろ夕餐の仕度にかかって居ると、六畳で、
「やあ、此は珍らしい人が来た!」
と云うAの声がする。出て見ると、渡辺氏が来られたのだ。先、父上上京のとき、来たら泊っていらっしゃいと云ったが、今、来るとは思わなかった。あいにく台所自分一人なので、一寸困ったなと云う感。
Aが、気にし、自分を痛わるのはいいが、どうせしなければならないのだから、来た人にまで感じられるような痛わりかたはして欲しくないと思う。
五月十日(水曜)晴
少し朝おくれ、あわてた。
三丁目の辺まで買物に出かけ、かえって来ると、門に自転車が置いてある。