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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
丸木は、胴中を佐々刑事たちの二本の綱で、ぎゅうぎゅうとしめられながら、決してそれでまいる様子はなかった。彼は、獣のようなこえを出すと、千二少年を隅へほうり出した後、部屋のまん中へとびだして、あばれだした。
たいへんなあばれ方である。丸木もほんとうに死にものぐるいらしい。
「こら、しずかにせんか。あとで、ほえづらをかくなよ」
「ううーっ」
丸木が、体を一ふりすると、佐々と警官とは、綱を持ったまま、よろよろと前につんのめりそうになった。しかし、すかさず、また綱の端を、丸木の片足にかけて、えいやと引いたから、丸木は、ついに床の上に、どしんと転がった。首は、手からはなれて、壁にぶつかった。
「しめた!」
佐々は、連の警官に目くばせして、起きあがろうとする丸木の上から、どうんと、とびついた。
それから先が、たいへんなことになった。丸木は二人力も三人力もあるとみえ、なかなかひるまなかった。三人は、上になり下になり、蟻田博士の秘密室に、ほこりをたてた。勝負は、なかなかつかない。
その組打のまっ最中に、とつぜん思いがけない一大椿事がもちあがった。
それは、どうんという地響とともに、にわかに床が、ぐっと上にもちあがると、たちまち部屋は、嵐の中に漂う小舟のように、ゆらゆらと、大ゆれにゆれはじめたのであった。