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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
なくなってしまったほどだった。
その夜の蟻田博士の講演放送というのは、なにも「火星兵団」のことが題目になっていたわけではない。そんなものとはまるで関係のない「わが少年時代の思出」という立志伝の放送だった。
ところが、その途中で、老博士は急に話をそらせ、講演の原稿にも書いてないところの「火星兵団」について、ぺらぺらしゃべりだしたのであった。
つまり、こんな風であった。
――ええー、ところでわしは、最近重大な発見をした。それはわれわれ地球人類にとって、実に由々しき問題なのである。事のおこりは一昨日の午前四時、わしはまだ明けやらぬ夜空に愛用の天体望遠鏡をむけ、きらきらときらめく星の光をあつめていたが、その時驚くべし、遂に「火星兵団」という意味の光をつかまえたのである。おお「火星兵団」! このことばは短いが、この短いことばの中には、いよいよわれわれ地球人類に対し、あの謎の火星の生物が、今夜のうちにも――。
その時放送は、とつぜん聞えなくなった。
「火星兵団」について、一生けんめいしゃべっていた蟻田博士の放送が、なぜその時、ぷつんと聞えなくなったのであろうか。