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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
千二は、すっかり仕事をなしおえた。成層圏で髪を刈ったのは、わが蟻田博士ぐらいのものであろう。
このとこやさわぎが、先生や千二の心を、大へんやわらげた。博士は、ほんとうのところは、髪を刈りたかったのではなく、二人の気持を、らくにするために、むりに髪を刈れと言ったのかもしれない。……
大空艇は、いま暗黒の空間を、ひたむきに飛んでいる。
博士は、髪のかたちをととのえ、すっかり若くなって、座席についた。先生も千二も、それを見てにこにこしている。いよいよ一同の意気は高い。
映写幕には、外がうつっている。まっくらな中に、うす桃いろの丸木艇が、うつっている。博士は、目盛盤を動かして、ピントを合わせた。
丸木艇が、くっきりと、映写幕の上にうつった。
「丸木艇は、いよいよ、火星へにげてかえるつもりだな」
と、博士は、うめくように言った。
「博士、どうなさいます」
「どうするとは?」
「丸木艇に、おいつけますか。おいつけないときは、地球へ戻るのですか、それとも、あくまでも、丸木艇をおいかけていくのですか」
「どこまでも、追いかけていくのだ」
博士は、はっきり言った。
「え、すると、火星までいくのですか」