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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
千二少年は、新田先生とならんで、窓の外を見ていた。はんたいの方向にまわる火星の二つの月はだんだんと両方へ離れていく。見れば見るほど、不思議な月であった。
「先生、ぼくは、なんだか夢を見ているような気がします。いま、ぼくは、ほんとに火星のそばまで来たのでしょうか」
「そう思うのは、もっともだ。わたしも、火星へ来たのは、はじめてだ。やっぱり夢を見ているような気がするよ」
先生もおなじようなことを言った。
そのうちに、どうしたわけか、あたりが急に暗くなった。
「おや、暗くなったぞ」
千二少年は、ガラスが、どうかしたのかと思って、服の袖でしきりにガラスをふいた。
だが、そんなことは、一向ききめがなく、だんだんと暗さがました。
「おやおや、火星が見えなくなってしまった。いままで、あのように美しくかがやいていた火星が、急にすがたを、けしてしまった。先生、これは一体どうしたわけですか」
すると、新田先生は、しずかにうなずき、
「千二君。窓ガラスをよく見たまえ」
「え、窓ガラスですか」
「ガラスの上に、何か見えないかね」
「さあ。――」
と言ったが、千二が見ると、外からガラスの上を、なんだか黒い粉のようなものが、ふきつけている。