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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
きのうはなかなか成功的でね、只天気が不確かだったので、卯女と康子は電車の停留場のところまで折角来たのにそこからもどってしまったのが残念でした。結局は降らなかったのだけれど。
例によってわが家のけさは、花満目です。下のタンスの上には、大阪から種をとりよせて咲かせたと花やが自慢したという大輪のダリヤが、大壺にささって居ります。こんな花びっくりなさるでしょう、まるで生きている飾提灯ほどの大きさの白、赤、黄よ。(これは佐藤さん)それから栄さんの可愛い赤い粒々輝く梅もどきと白菊。私のこれをかいている机の端には、未曾有の贅沢としてカーネーションの束がふっさりとかたまって居ります。もしここを写真にとったらどんな豪奢なおくらしかというような姿です。
きのうはくつろいで愉快でした。〔中略〕みんな珍しいもんだから気持がよいとみえ、夕飯までいて、みそ汁と大根おろしとで御飯たべ、夜も益※(二の字点、1-2-22)話しにみが入って、おそくまでいました。
賑やかさ、きこえましたろう? もうきっとみんなひき上げて、ユリも二階へひきあげて手紙でもかいているかな、あなたがそんな風にお思いになりそうな頃(夜八時頃)は、いろんな真面目なことや可笑しいことで大笑いの最中でした。