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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 页
さっき、お館さまと沢庵さんが、話していたろ」
「おまえは、そんなことまで、お通さんに喋ったのか」
「ああ」
「それではあの泣虫さんが、死にそうなことを口走るわけじゃ。わしが戻ってみたところで、遽にお通さんの病気を癒してやる思案もないから、わしがこういったと、告げなさい」
「なんというの」
「御飯をお喰べって」
「なんだ、そんなことなら、おいらが一日に百遍もいってら」
「そうか。それはお前のいう言葉が、そのまま、お通さんにとっては無二の名言なのだが、それさえ耳に通らない病人ならば、仕方がないから、なにもかも正直にいって聞かせるのだな」
「どういう風に」
「武蔵は、吉野という傾城にうつつをぬかし、きょうで三日も扇屋から帰って来ぬという。それを見ても、武蔵がお通さんを少しも想っていないことがわかろう。そんな男を慕うて、どうする気じゃと、よく、泣虫のお馬鹿さんにいうてやるがよい」
聞くも忌々しげに、城太郎は強くかぶりを振った。
「そんなこと、あるもんか。おいらのお師匠さまは、そんな武士じゃない。そんなことをいったらお通さんは、ほんとに自分で死んでしまうぞ。なんだい沢庵坊主め、おまえこそ大馬鹿だ、大馬鹿三太郎だっ」