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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 页
五
と、その僧侶は、まだそこらに武蔵様がいるような気がしてなりませぬ――といいながら、次のような仔細を話すのであった。
五
あの時以来。
土匪を懲らし、村の治安が強固になり、めいめいの生活が平和に回ると、誰ひとりこの地方では、武蔵の名を呼び捨てにする者はなかった。
――法典の御牢人さま。
とか、または、
――武蔵さま。
とか敬称して、今まで狂人扱いにしたり、悪口を叩いた者も、彼の開墾小屋へ来て、
(わしにも、お手伝いをさせて下され)
というように、変ってしまった。
武蔵は、誰にも平等に、
(ここへ来て手伝いたい者は手伝え。豊かになりたい者は来い。自分だけ喰って死ぬことは鳥獣もする。少しでも、子孫のために、自分の働きを遺して行こうとする者はみんな来い)
そういうと忽ち、
(わしも、わしも)
と、彼の開墾地には、日々四、五十人ずつ、手空きの者が集まった。農閑期には、何百人も来て、心を協せて、荒地を拓いた。
その結果、去年の秋には、今までの出水もそこだけは防ぎ止め、冬には土を耕し、春には苗代に種子を蒔き水を引き、この初夏には、わずかながら新田に青々と稲もそよぎ、麻も麦も一尺の余も伸びていた。