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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 页

青空文庫

五

一緒にいると、それだけが、陰気になって、おいら嫌いさ」

――もう大概に、相手の顔いろを見て喋ればいいのに、城太郎はおかまいなしに、まだこの上にも、朱実の胸はおろか、全身を嫉妬の火で焼きかねないほど――無邪気を通り越していた。

五

眸の底にも、皮膚にも、蔽いきれない嫉妬のいろをたたえながら――なおなお、朱実は求めて訊きたがった。

「いったい、お通さんて、幾歳なの?」

城太郎は、見較べるように、彼女の顔をながめて、

「同じぐらいだろ」

「わたしと?」

「だけど、お通さんの方が、もっと、綺麗で若いよ」

そのくらいでこの話題が打切れればよかったのに、朱実の方からまた、

「武蔵様は、人なみ以上、武骨だから、そんな泣虫のひとは嫌いだろう。そうだよきっと、そのお通ってひとは、泣いて男の気持をひきつけようとする――角屋の女郎衆みたいなひとに違いない」

どうかして、お通を、城太郎にだけでも、好く思わせまいと努めるのであったが、結果はかえって反対に、

「そうでもないぜ。お師匠様も、うわべは優しくしないけれど、ほんとは、お通さんが好きらしいんだよ」

とまで、いわせてしまった。

凡ならぬ顔いろはもうとうに通り過ぎている朱実であった。