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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 页
二
笑ったり、またしばしば武蔵の名が謳われた。
そのうちに、黙って聞いているに堪えない虫気が起ったのであろう、佐々木小次郎は、石切たちの方へ向って、
「これ、職人ども」
と、呼びかけた。
二
石切の職人たちは、小次郎のほうを振向いて、何事かと皆、居住いを直した。
風采花やかな若衆武士が、先刻から側には中堂の寺侍を二、三名も据え、威風は辺りを払うが如く見うけられていたので、彼らは、
「へい」
と一様に頭を下げた。
「これ、これ。唯今、知ったか振りして、喋舌っていた男、前へ出い」
小次郎は、鉄扇をもって、彼らの頭を麾き、
「そのほかの者も、ずっとこっちへ寄れ。……なにも恐がらんでもよい」
「へ、へい」
「今、聞いておると、其方どもは、口を極めて、宮本武蔵を讃えておるが、左様な出たらめを申し触らすと、以後承知せぬぞ」
「……は。……へい?」
「なんで武蔵が偉いか。其方どものうちにも、過日の件を目撃した者があるとのことだが、この佐々木小次郎もまた、当日の立会人として、親しくあの試合には双方の実情を審に検分いたしておる。――実はその後、叡山に上り、根本中堂の講堂にては、一山の学生を集めて、その見聞と感想を演舌し、また、諸院の碩学たちの招請に応じても、自分の意見を忌憚なく述べてまいったのだ」