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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 页

青空文庫

六

「近衛三藐院というと、あの関白家の」

「そうです、龍山公のお子様の信尹公のことです」

「私の叔母の良人にあたる者が、近衛家に長年勤めておりますが」

「なんと仰っしゃる御人?」

「松尾要人と申します」

「ほう、要人殿ならば、よう知っています。毎度近衛家にあがるので、お世話にあずかったり、また要人殿もよく、宅へ訪ねてくださるし」

「ア、そうでしたか」

「母者人」

と、光悦はまた、そのことを、母の妙秀にも話し直して、

「どこにご縁が繋がっているかわかりませぬな」

といった。

「おおそうか。ではこのお子は、要人殿の義理の甥御か」

妙秀はそういいながら、風炉先のそばを離れて、武蔵と息子の前へすすみ、優雅に茶式の礼儀をした。

もう七十ぢかい老母であったが、茶事の作法が身についていて、自然な身ごなしや、細やかに動く指の先や、すべての振舞いが、いかにも女らしく、優しく、そして美しかった。

野人の武蔵は、光悦に倣って畏まっていた。その窮屈らしい膝の前に、菓子の木皿が置かれた。菓子はつまらない淀饅頭であったが、この枯野には見あたらない青い木の葉を敷いていた。

六

剣に形、作法などがあるように、茶にも、法があると聞いている。