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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 页
「窓を明けて、ここを掃除しておけ」
いいつけて、出て行った。
「はい」
伊織は、家人に箒を借りて、部屋の掃除にかかったが、なお、心配になるので、武蔵が何をしに行ったのかと、裏庭をのぞくと、武蔵はそこの井戸ばたで口を嗽いでいた。
井戸端のまわりには、青梅の実がこぼれている。伊織は、それを見るとすぐ、塩をつけて齧る味を思った。そして、あれを拾って浸けこんでおけば、一年中梅干に困らないのに、ここの人はなぜ拾って漬けないのかと考えたりした。
「耕介どの。怪我人の容態はどうじゃな」
武蔵は、顔を拭きながら、そこから裏の端の部屋へ、ことばをかけていた。
「だいぶ、落着いたようで」
と、耕介の声もする。
「おつかれでござろう。後で少し代りましょうかな」
武蔵がいうと、耕介は、それには及ばない由を答えて、
「ただ、このことを、平河天神の小幡景憲様の塾まで、お知らせしたいと思いますが、人手がないので、どうしたものかと、それを案じておりますが」
と、相談する。
それなら、自分が行くか、伊織を使いに出すから――と武蔵がひきうけて、やがて中二階の箱段をのぼって来ると、部屋は手ばやくもう掃かれてある。