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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

新田先生は、モロー彗星が地球に衝突する日までが、なるべく長いことを祈りながら、最も大事なことを博士に尋ねた。

「衝突の日のことか。つまり地球最期の日は何月何日かと聞くのじゃな。ふふふ、それはなかなか重大問題じゃ。うっかり答えることは出来ない」

「博士。ぜひ教えていただきたいです。それによって、僕たちは、用意をしなければなりません」

「なに、用意をする? 用意って、なんの用意をするのか。お前たちがどんな用意をしようと、結局むだなことじゃ。おとなしく死んでしまうがいい」

博士は、地球とモロー彗星との衝突する日を、なかなか言おうとはしなかった。新田先生は、ますますいらいらして来るのだった。

「もし、博士。なぜそれをおっしゃって下さらないのですか」

「まあ、いいよ。そんなことを聞いても、なんにもなりはしない」

博士は、頑として言わなかった。

「まだ一年ぐらい先ですか」

「さあ、どうかな」

「それとも一箇月後でしょうか」

「さあ、どうかな」

博士は、同じことを言いながら、望遠鏡にしがみついている。

「どうしても、おっしゃって下さいませんか。では、よろしい。僕は、誰かほかの天文学者のところへいって、それを聞いて来ます」