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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
新田先生はとうとうおこってしまった。いつもは決しておこらない先生だったが、地球が粉みじんになるという恐しい話を聞いたので、少し取りみだしたかたちであったと、先生のために言いわけをしておきたい。
それを聞くと、博士は初めて望遠鏡から目を離した。そうして新田先生のそばへ近づき、両手を後に組んで、若い弟子の顔をのぞきこむようにして、
「はははははは、お前は、この師の学力が、どんなに大きく、かつ深いものであるかを知らないとみえるのう。まあ、やってみるがいい。誰のところでもいい、天文学者という学者のところを歴訪して尋ねてみるがいい。恐らく、それに答えてくれる学者は、一人もいないであろう。いや、第一、モロー彗星が地球に衝突することすら、誰も気がつかないであろう。ふん、自慢じゃないが、世界広しといえども、わしよりえらい天文学者は、ただの一人もいないのじゃ」
そう言って、蟻田博士は、ここちよげに、からからと笑った。
蟻田博士の、恐るべき自信!
モロー彗星と地球とが、やがて衝突するだろうことを知っているのは、世界広しといえども自分一人だと言う。
あまりにも、大きなことを言いすぎるではないか。