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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「動くよ」
運転手は、しわがれた声で言った。
すると自動車は、たちまち勢いよく公園のそばを離れた。そうして日比谷公園の角を右へ折れると、芝の方へ向かってスピードをあげた。
「すごいスピードだなあ」
千二は、感心して、運転台のガラスから、商店や街路樹や通行人がどんどん後へ飛んでいくのを、おもしろく見まもった。
だが、しばらくいくと、変なことが起った。
それは、白いオートバイが、後から追いかけて来たことである。そうして、千二の乗っている自動車の前を通り過ぎると、うううっと、すごい音のサイレンを鳴らした。オートバイの上には、風よけ眼鏡をつけた逞しい警官が乗っていたが、手をあげて、こっちの自動車に「とまれ!」の合図をした。
(ははあ、この運転手さんがスピードを出し過ぎたから、それで、おまわりさんに、ストップの号令をかけられたんだな。かわいそうに、この運転手さんは、おまわりさんに叱られた上、罰金をとられるだろう)
と、千二は気の毒になって、運転手の方をふり返った。
すると、運転手は車をとめるかと思いの外、車外の警官をじっと睨みつけると、かえってスピードをあげて、たちまちオートバイを追越した。