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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

千二は驚いた。

白いオートバイの警官からストップを命令されたのにもかかわらず、自動車は彼を乗せたまま、ぐんぐんスピードをあげて逃出したからだ。

「ねえ、運転手さん。おまわりさんが、ストップしろと命令しましたよ。早くとめないと、大変ですよ」

「おだまり、千二!」

「えっ!」

千二は、また驚いた。

運転手から、彼の名を呼ばれて、二度びっくりであった。

「運転手さんは、どうして僕の名を知っているんですか」

と千二は、となりに並んで腰をかけている運転手の顔を見た。

運転手は、中腰になって、正面をにらんでいた。車は、町の信号も何もおかまいなく、怒れるけだもののように走っていく。

その時千二は、運転手の横顔を見て、心臓がとまるほど驚いた。

「あっ、丸木さんだっ!」

丸木だ! 怪人丸木だ! 運転台でハンドルを握っているのは、この前千二がひどい目にあわされた怪人丸木であったのだ。

「静かにしろ、お前が、そばからうるさいことを言うと、この自動車のハンドルが、うまくとれやしない。もし衝突でもしたら、大変じゃないか」

丸木も、かなり、あわてていることが、彼の言葉によって、よくわかった。