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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
困った博士である。
新田先生は、二、三歩後へ下って、ていねいにおじぎをした。
「どうも、失礼いたしました」
「お前は、どうもけしからんぞ。わしのやっていることを盗もうとして、いつもどろぼう猫のように目を光らせておる」
「どうもすみません」
新田先生は、博士が病気のため気が立っていると思うから、なるべくさからわないようにしている。
それを見て、博士は、また少しきげんを直し、
「せっかく、わしがお前をえらくしてやろうと思っているのに、お前は……」と言いかけて、後は口をもごもごと動かし、「あのなあ、お前が知りたいと言っていた、地球とモロー彗星とが衝突する日のことじゃが……」
新田先生は、思わず、全身に電気をかけられたように思った。蟻田博士が、どうやら、ついに地球とモロー彗星との衝突する日のことについて、話そうとしているらしい。
「はあ、はあ」
「なにが、はあはあじゃ。もう、教えてやろうかと思ったが、やっぱり教えないでおくか」
博士は、どこまでも意地悪で、つむじまがりであった。こういう人につきそっている新田先生の気苦労と来たら、たいへんなものである。教え子の千二少年をたすけ、そうして博士だけが知っているところの、今地球に迫りつつある、恐しい運命について知るために、新田先生は辛抱して、この天文研究所におきふししているのだった