轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「うん。だから私は、こう考えてみた。とにかく、この自動車に乗っていた人間は、生きていると思う」
「えっ、生きている。まさか――」
佐々刑事は、あまりのことに、あいた口がふさがらないといった形だった。
「課長、あなたのおっしゃることの方が、変ですねえ。あのとおり、高い崖の上から自動車が、ここへおちたのですよ。たとえ、ガソリンに火がつかなくとも、人間は脳震盪かなんかを起して、死んでしまうはずです。生ているなんてことは、考えられませんなあ」
そう言って、佐々刑事は、課長の顔を、じっとのぞきこんだ。課長は、どうかしているのではないかと思ったのである。
「だが、佐々。骨が一本も見あたらないのだから、私は、乗っていた人間が、ここで焼け死んだとは思われない」
「だって、課長、――」
「もちろん、私にも、あの高い崖の上から人間が落ちて、それで、命が助るものとは考えない。しかし、骨が一本も見当らないのだから、崖からおちた人間は、命が助って、どこかへいってしまったとしか考えられないのだよ。不思議というほかない」
「そんな無茶な考えはないですよ、課長。崖の上からおちた人間が、命を全うしたばかりか、そのままどこかへ行ってしまったというのは」