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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

驚いたのは新田先生だ。下手をすれば、どうんとピストルのたまぐらい、こっちへ飛んで来るだろうと思っていたのに、意外も意外、その怪物は自分の名を呼んだのであった。

「だ、誰だ!」

新田先生は、どなり返した。

「先生、やっぱり、新田先生だ。僕です、僕です」

僕です、という声とともに、空気穴からかわいい少年の顔が、こっちをのぞいた。

「あっ」

新田先生は、思いがけない驚きにあって、しばらくは口がきけなかった。

「先生、僕、千二ですよ。ああ新田先生だ。よかった、よかった」

新田先生は、空気穴の方へ手をさしのばして、

「ああ、千二君だ。ほんとうに千二君だよ。どうして、こんなところへ……」

と、言ってから気がつき、

「さあ、早く、こっちへ出て来たまえ!」

空気穴から千二少年がはい出して来た。

「おお、千二君。よくまあ……」

「先生!」

二人は、思わず抱きあって、涙にむせんだ。

「先生は、どうしてこんなところに、いらっしゃるんです」

「ああ、これには、わけがある。要するに、君を助けたいためと、もう一つは、もっと大きなものを助けたいためだ」

「もっと大きいものって何ですか」

「それはね――」