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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

だからそれだけに驚きはひどかった。――立直ろうとする時、又もや、

ひゅうん。

と唸りごえが聞えたかとおもうと、千二少年は背中を、どすんと強くなぐられた。

「ううむ」

つづけざまの、不意打の襲撃だった。何も見えないまっくら闇の中で、おもいがけない見当から、なぐられたり、つきとばされたり、ひどい目にあった。しかも相手は、何者だか、まるっきりわからない。千二は、はあはあ息をついていたが、そのうちに何者かが、すぐ目の前をとおりすぎるようなけはいを感じたので、思いきって、

「やっ」

とさけぶと、ここぞと思う見当に向かって、とびついた。

すると、はたして手ごたえがあった。

「うぬ、もうにがさないぞ」

千二は、どなった。そうして、しっかりとおさえつけた。その相手というのは、何者であったろうか。とにかくそれは、手ざわりだけでは、苔がはえた土管のような気がした。生き物のようではなかった。

まったく妙な手ざわりである。苔がはえた土管のように、上はぬるぬるしていて、しかもたいへん固いのであった。それが、千二が闇の中でとらえた相手であった。その形はくらがりのことで、はっきり見えない。