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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「これは、間違えて、何か別のものをつかまえたのではないかしらん」
とすこしの間、千二は、そう思った。
しかし、千二のつかまえている土管みたいな怪物は、彼のおさえつけている下から、はねかえそうとしているらしく、しきりにもくもくと動いたし、また、しばらくたって、
ひゅう、ひゅう。ひゅう、ひゅう。
と、しのびやかな鳴き声を立てたので、今おさえているのが、例の怪物であることに、決して間違がないと知った。
だが、こうしておさえつけていても、千二は、決していい気持ではなかった。とびつく前は、相手は人間か、またはこの湖によく下りる鳥だろうと思っていた。ところが、それとはまったく手ざわりの違った、ぬれ土管の怪物だったのである。でも後から考えると、彼はよくまあ勇敢に、組附いたりしたものだと感心する。これが闇夜の出来事ではなく、昼間の出来事で、相手の姿がはっきり見えていたとしたら、彼は決してとびつきはしなかったろう。いやその反対で、きっと顔色をかえて、逃出したことであろう。
「さあ、ずるい奴め。土管の中からひっぱり出してやるぞ」
千二は、本気でそう言って、相手の体をなでまわしたが、さあたいへん、土管だと思ったのに、その先は鉄甲のように、まるい。