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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

こんな場合、佐々刑事は、もっと早く助けをよぶべきであったと思う。ところが佐々は、自分一人の手柄にしようと思って、大いにがんばったのであった。

ところが、どうも佐々の方が旗色が悪い。助けの声を出そうにも、声を出す隙さえないという有様だった。

「あっ……。うむ」

「ぶうーん」

「やっ。えいっ」

「ぶうーん」

苦しいかけ声をかけているのが佐々刑事で、相手の警官は、ぶうーんと、妙なうなりごえをあげる。どこまでも、かわった人物だった。

(こいつは手ごわい相手だ。ぐずぐずしていると、あいつの鉄拳で、こっちの肋骨を折られてしまうかもしれない。何とかして、早いところ、相手をたおしてしまわねばならぬ!)

佐々刑事は、だんだん無我夢中になって来た。どこか、相手の隙はないか。

そう思っている時、彼は、一つの隙を見つけた。

「これでもかっ!」

佐々刑事は、飛びこみざま、相手の顎を下からうんとつきあげた。ぐわんと、はげしい音がした。

「あいたっ」

佐々刑事は思わず悲鳴をあげた。拳の骨が、くだけたと思ったのだった。相手の顎のかたいことといったら、まるで石のようだ。

相手は、よろよろとよろめいた。