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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
と弓形老人は、茶わんを盆の上において、新田先生の前に差出しながら、
「あの火は、わしらも何の火だろうかと、うわさし合っているのでがすよ」
南の山の上に、ちろちろと見えたり消えたりする火! 先生が気にして、老人に尋ねると、老人も知らないと言う。
「昔から、あの火はあるのですか」
と、新田先生は尋ねた。
山の上の火のうわさ! 弓形老人の顔が少しこわばった。
「それが先生、わりあい、近頃のことでがすよ。昔は、あんな火は見えなかった」
「ああ、そう」
新田先生は、うなずいて、
「あの火は一体何の火ですかね」
「さあ、それがどうも正体が知れないのでしてな」
弓形老人は、首を左右にふった。
「この村の人で、誰もあの火のことは知らないのかなあ。ちょっと、気になる火じゃないですか」
「新田先生。あそこまでは、なかなかけわしくて、近づけないのでがすよ。第一、途中はこの間まで雪がふかくて、とても上れなかったんです」
「それで、あの火のところまで、行ってみた者がないというわけですね」
「この村の者じゃないが、一週間ほど前に、一人の男が、あの火のことをうわさしながら、上って行きましたがな。