轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
――大江山課長は、佐々がどんな返事をするかと、目をすえて待っている。
佐々は、課長が、家出か殺されたのかと急な問いをかけたので、鳩が豆鉄砲をくらったように、目をまるくして、しばらくは口がきけなかったが、やがて、ごくりと唾をのんだ。
「ええええ、そ、それは……」
佐々は、あわてると、つかえる癖があった。
「そ、それは――つまり、蟻田博士は、いつの間にか、天文室からいなくなったのです。机の上も、望遠鏡の位置も、博士がその部屋にいるときと、全く同じ有様です。天窓も、あけ放しです。ですから天体望遠鏡にも、机の上においた論文や本のうえにも、露がしっとりおりて、べとべとです」
「ふうむ、なるほど」
「だから、博士は、ちょっと便所にでもいくような工合に、行方不明になったんです」
蟻田老博士の行方不明!
「火星兵団」の謎を解く力のあるのは、自分だけだと、いばっていたその老博士が、とつぜんいなくなったのだ。
佐々刑事が、大江山課長に、今報告したところによると、博士の邸内にある天文室の様子は、ふだんとすこしも変らず、天窓はあけ放しになっていて、机の上にも、望遠鏡にも、露がおりているというのだ。