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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「博士が部屋から姿を消したのは、何時のことかね」

と、大江山課長は、たずねた。

「それは、わかりませんよ。あの邸内には、博士一人が住んでいるだけなんですから、誰も知らないのです」

「ふむ、博士は一人で暮しているのか。じゃあ、食事などは、どうするのだろうか」

「食事は、外に食べにいったり、または、パンなどを買いためておいて、それを出して食べているらしいんですよ。私がさっきいった時も、包紙から、パンが顔を半分出していました」

博士は、よほどの変り者である。

「でも一日のうちには、誰か博士邸をたずねて来る者がありそうなものだ。たとえば、ガスのメートルを見るために、ガス会社の人が来るとか、洗濯物の御用聞がやって来るとか、そんな者が、ありそうではないか」

「さあ、どうですかな。今後の調べを待つほかはありませんね」

「ふうん、そいつは弱ったね」

と、課長は眉の間に、しわをよせて、考えこんだ。

「どうしますか。ラジオ自動車隊へ、すぐ手配をしてはどうですか」

「いや、そんなことはしない方がいい。おい佐々。君、案内してくれ。僕がいって、一つよく、調べてみよう」

「えっ、課長と私と二人きりで……」