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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「いや、わしたちは、こう考えているのです。人間だけを火星に持って行ったのでは、向こうで、人間がくらしに困るかと思う。だから、あらゆる植物や動物を、持って行ってあげようと言うのです」

「なるほど。そういうわけですか」

新田先生も、丸木の言葉が、ようやくわかったような気がした。

「では、そのへんで、わしたちの申出を、承知してくれますね」

「いやいや、丸木さん」

と、先生はあわてて、丸木をさえぎり、

「その話は、いくら私に相談をかけられてもだめです。政府に話をして下さい」

すると丸木は、ぶるぶると体をふるわせ、

「どうも君は話のわからない人間だ。もうよろしい。わしたちはこんなことで、ぐずぐずしておられないのだ。兵団長は、もうこれで十五へんも、話はきまったかと聞いて来られた。この上、ぐずぐずしていると、わが火星の大計画はくずれてしまって、とりかえしのつかんことになる。……」

と、丸木は妙なことを口走って、しきりに足ぶみをした。

新田先生は、丸木の言った言葉の中から「兵団長」だの「わが火星の大計画」だの「とりかえしがつかん」だのと言う謎のような言葉を、頭の中でおさらいをしてみて、不審顔であった。