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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

こうして、今また丸木が先生の前に迫って来たからには、いよいよ丸木は、先生の体に危害を加えるつもりではないか。

そう思うと、じりじりと穴の奥まで、追いつめられた先生は、もうどうにも助かる道がないように思った。先生は最後の勇気を出して、自分の鼻の先に迫って来た丸木の顔を、ぐっとにらみつけた。

「おや!」

この時先生は、非常におどろいた。急にくらくらと目まいを感じたほど、おどろいたのであった。

それは一体なぜだったろう。

丸木の眼は、いつも黒く色のついた眼鏡をかけていることは、誰でも知っている。今丸木はマントの下から手を出して、その眼鏡をとったのである。すると、その下から二つの眼が現れて、くるくると動いた。――生きている目だ!

火星人もそうであるように、怪人丸木もよく自分の首を下に落した。

ぽっくり下に落ちる火星人の首には、目玉がついているけれど、先に先生が発見したように、その目玉はガラス玉同様で、決して生きている人間の目玉のように動きはしないのである。ところが今、丸木の目玉が、くるくるぎょろぎょろと動いたので、先生は、びっくりしてしまったのだ。なぜ急に丸木の目玉が、生きている人間の目玉のように、動き出したのであろうか? 丸木だけが火星人として、特別仕掛のにせ首を持っているのだろうか?