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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
佐々は、いまいましそうに舌打をした。しかし、あかないものはいつまでたってもあかない。仕方がないので、さっきしばった火星人をおどかして扉をあけさせようと考え、いくつかの階段をのぼって行くうちに、火星のボートは、ぐらぐらと動き出した。
「ああ、あの音は!」
さすがの佐々刑事も、火星のボートのエンジンが、大きな音を立ててまわり出したのにはおどろかされた。
彼は、廊下を走った。廊下のつきあたりに、妙な形をして外へつき出した反射式ののぞき窓があった。佐々はその窓に飛びついて、下の方を見た。大きなおどろきが、そこに待っていた。火星のボートは、今や地上を離れて、大空高く、ずんずん上昇して行くのだった。
はるか下の方には、中空からのまぶしい光に照らし出されて、たくさんの火星のボートが、まるで太い棒を植えたように見える。
その異様な中空からの光は、佐々の乗っている火星のボートから出ているのであった。これでみると、火星のボートは、エンジンをうんとかけると、ボート全体が、大変明かるく光るらしい。だから、これを遠くから見ると、火柱が天に向かって伸びて行くように見えるであろう。