轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

先生は、くらがりの山の斜面を、ずるずると二、三メートル下っては休み、耳をすました。誰か、自分の後を追いかけて来ないであろうかと、先生は、心配であった。別に、そのような音がしないのをたしかめると、先生は、またずるずると二、三メートル下って、また耳をすますのであった。もし今火星人に見つけられたら、今度こそ、人間の世界へはもどれないであろう。

その心配は、時間と共に、だんだん薄らいで行った。火星人は、先生が逃出したことに気がつかないらしく、誰も追いかけて来るものはなかった。

「ここまで来れば、大丈夫だぞ」

先生は、やきつくようにかわいたのどを、手にふれる残雪をぶっかいて、口の中に入れ、元気を取りもどした。こうして、地獄沢を後に、掛矢温泉へたどりついた時は、もうすっかり夜は明けて、朝となっていた。

温泉旅館の主人の、弓形老人は、庭に出て梅の枝を切っていたが、とつぜんそこへもどって来た先生の姿を発見して、おどろきのあまり、鋏を手に持ったまま、その場へ尻餅をついたほどだった。

「せ、先生。あ、あなたは、まあ、きのうから、どこにいっておいでだったのですか」

新田先生の体も、へたへたと庭にくずれてしまった。