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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
先生の顔は、血の気を失って、まっ青だった。目の下には、黒い隈が出ていた。顔はもちろん、手足といわず服装といわず、血や泥にまみれて、どこの人かと思うくらいだ。
そうでもあろう。病後まだ幾日もたっていないのに、新田先生は、精神の上においても、また体の上においても、非常な苦労を味わったのであった。今まで、途中で、よく倒れなかったものである。
それというのも、先生が、一つには教え子の千二少年の身の上を心配し、また一つには、やがて地球がモロー彗星と衝突した時の大惨事を思い、どうかして、人類を救いたいとの一心が、こうして、先生を堪えがたい苦しさの中から、ようやく救い出したのであった。
弓形老人に、先生は手みじかに、火星兵団の先遣部隊の襲来のことを話した。そうして自分は、これから直ぐにこのことを東京へ知らせたいから、電話を頼んでくれと言った。
弓形老人は、いよいよおどろいて、ぬけた腰が、元にもどらなかった。そこで手を叩いて家人を呼ぶと、その手を借りて、先生と共に家の中にはいった。
老人が、直ぐにこの話を家人にしゃべったので、旅館内は、さらに大さわぎとなった。