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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
しかし、先生とて総監や課長の苦しい胸の中を察しないではなかった。
火星兵団の先遣隊を討伐に向かった決死警官隊は、どれもこれも、ひどい損害をこうむり、本庁には次々に、全滅の報告が舞いこんだ。
東京市内の警戒のため、夜通し町の辻に立って、任務をつづけている大江山課長は、その報告がやって来るたびに、さらに顔を暗くした。
新田先生は、いつも課長のそばについていたが、課長の苦しそうな表情を見るにつけて、先生もまただんだん苦しくなって来た。
(これは、こんなことをしていたのではいけない。何とか、ここで我々がもりかえさなければ……)
先生は、どうしたらよいかとそれを考えたが、すぐに名案も浮かんで来ない。
「ねえ、新田さん。せめて佐々刑事に連絡をとる方法がないものかねえ」
「さあ、困りましたな」
と、先生は首を振って、
「もう佐々さんが、山から下りて来てもいいころなんですが、何をしているのでしょうね」
新田先生は、佐々刑事が火星のボートに乗って、宇宙にとび出したことを知らない。先生が知らないくらいだから、大江山課長が知るはずがない。
「では、もう一度、私が山へ上ってみましょうか」