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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「ああ、これでは博士を見つけることなんか、思いもよらない!」
新田先生は、深いため息とともにつぶやいた。ひょっとしたら、研究所跡のどこかに、博士が小屋がけでもして、がんばっているのではないかと思ったが、見渡したところ崩れた跡はそのままであって、博士の住んでいる様子はどこにもなかったのである。
蟻田博士の天文台の崩れたあとに、月光は、ぼんやりと光をなげている。まるで墓場のような風景である。ただ一人そこにたたずんでいる新田先生の心には、言いあらわせないほど、いろいろの思いが、わいて来た。
博士は、どうしているのであろうか。
そうして、博士は一体いい人なのか悪い人なのか。そうして、また大江山課長の言うように、ほんとうに火星のスパイをはたらいているのであろうか。
博士の研究所は、このように、めちゃめちゃにくずれている。だから、博士はどこへ行ったことやらわからない。とにかく、こんなところに博士がとどまっていないことは、たしかであろう。
先生は、深夜にせっかくここまでやって来たが、こんなわけでかなり気を落した。こうなれば、どこか別のところを探しに行くより外に仕方がないと思った。