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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

が、しかし、何か博士の行方について、手がかりになるようなものが落ちていないかと、あたりを見まわした。

その時、先生の目にとまったものがある。

「おや、これは、後から掘りおこした穴のようだ」

先生の足もとには壁がくずれて、コンクリートの塊や木材が、ごたごたと折重なっていたが、そのコンクリートの塊の間に、人間がくぐれるくらいの穴があいていたのである。それは、ちょうどくずれおちた屋根の下になっていて、遠くから見たのでは、穴のあいていることがわからない。先生は俄に元気をとりもどした。

(ひょっとすると、この穴の中に誰かが、かくれているのではなかろうか)

そう思って、新田先生は、からだをかがめると、穴の中の様子をうかがった。

(おや、何だか、穴の中で、かすかに人のこえがするようだ)

先生は、耳をすました。

穴の中からもれて来る話声は、たいへんかすかであった。新田先生は、全身の注意力を耳にあつめて、それを聞きとろうとつとめた。

だが何を話しているのか、先生にはよく聞きとれなかった。ただ、その話声は、かなり深い地底から聞えてくるものであるらしく思えた。それにしても、不思議な話声ではある。