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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

そうだ、それに違いない。人間と同じ恰好をしていたので、今まで、人間のように思って話をしてきた。しかし火星のボートの中にいて、いばっているからには、やはり火星の生物に違いない。しかし、それにしては、日本語がこんなにうまいのは、どうしたということであろう。

「お、おれのことかね」

と、その大男は、またどぎまぎしているようだったが、やがて蜘蛛のように肩を張ると、

「お、おれは人間さ。お前と同じ人間なんだよ。ほら、よくごらん。人間と同じ顔をしているだろう。話だって、よくわかるだろう。火星の生物じゃないさ。だから、おれをこわがることはない。仲好くしようや」

と、そのきみのわるい大男は言うのであった。とんでもないことだと、千二は心の中で思ったが、口に出しては、この大男をおこらせるだろうと思って、やめた。

「おじさんは、ほんとうに人間ですか」

「そ、それにちがいない。なぜ、そんなくだらんことを聞くのか」

「でも、変ですね。火星のボートの中に、地球の人間が一しょにいるなんて」

千二は、生まれつき胆はふとい方だった。始めは、びっくりして、すこし、あわてていたが、だんだん気が落ちついて来た。