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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「ほほう」

「女王たちを、この天井のない牢にぶちこむと、火星人たちは、今度は水をそそぎ入れた」

「水の中に、おぼれさせるのですね」

「そうではない。水は、わずか十センチぐらいの浅いものだったが、その後で投げこんだものが、恐るべきものじゃ」

と、博士は、その時のことを思い出してか、肩先をぶるぶるとふるわせた。

「何です、博士。そのおそるべきものと言いますと……」

新田先生は、博士の答えをもどかしがった。

「それは、一種の藻じゃ。見たところは、たいしたことのない緑色の藻じゃが、その藻こそ、恐るべき繁殖力を持ったやつじゃ」

「繁殖力?」

「そうじゃ。つまり藻がふえるのじゃ。その藻は、水の中では大へんな勢いでふえるのじゃ。しかも、そばに他の生物がいると、それにとりつき、その生物の体から養分をすいとって、どんどん繁殖していくのじゃ。恐るべき寄生藻だ」

と、蟻田博士は、そこでまた体をふるわせた。

「ああ、藻をつかって殺すなんて、始めて聞きました。火星の上には、とんでもない植物があるものですね」

新田先生は、ため息をついた。蟻田博士の語り続ける女王ラーラと、その子供たちの最期ほど風がわりな、そうして気の毒なものは、ちょっと外になかろう。