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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

博士は、なおも語り続ける。

「――女王ラーラとその子供たちは、四日目には、その恐しい藻に包まれて、全く死んでしまったのだ」

「ああ、かわいそうに……」

「その時、わしは、森の中の一本の木の上にのぼって見ていたのだが、あまりかわいそうなので、何とかして、せめて子供だけでも助けてやりたいと思い、いろいろと助けてやる方法を考えたのじゃが、どうも、なかなかいい智慧が出ない。ところが、そのうち、ふと、思いついたことがあった」

「何です、その思いつかれたことは?」

「それはほかでもない、わしが持っていた長さ五十メートルの長い巻尺じゃ」

「巻尺? あのぐるぐるまいて、ケースにはいっているあの巻尺のことですか」

「そうじゃ、その巻尺じゃ。わしが火星へ持って行ったやつは特別につくらせたもので、丈夫な鋼鉄で出来ている。わしは、その巻尺の一端に、わしが護身用に持っていた猟銃をゆわいつけると、木の上から、やっと掛声をして、十メートルばかり離れた牢へなげこんだのじゃ」

「あはははは」

と、新田先生は笑い出した。

「なぜ、お前は笑うのか」

「博士、ほら話はいけませんね。いくら博士がその時お若かったにしろ、そんな重いものを、十メートルも離れた遠いところへ、やすやすと投げられるものですか」