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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

(火星なんぞへ行くものか!)

と、蟻田博士は、はっきり言った。

「じゃ博士は、どこへ行かれるのですか。まさか四月四日に、この地球の上にとどまっていて、地球人類と共に死滅せられるわけではないでしょう」

と、新田先生はつっこんだ。

「ふん、わしの心はきまっている。しかしそれをお前に話をするわけにはいかん」

「なぜ、話して下さらないのですか」

新田先生は不満であった。

「わしは、そのような大切な計画を、誰にも知られたり、じゃまされたりしたくないのだ。何しろ、四月四日の大危難を切りぬけるのは、なまやさしいことではないからのう」

博士はため息をついた。

蟻田博士にとっても、モロー彗星の衝突事件は、たいへん困ったことらしい。新田先生は、これ以上博士をときふせることが出来なくなって、口をつぐんで、少しうつ向いた。

「ほう、ほう、ほう」

博士は、奇妙な笑い声を立てた。

「何だ、お前はいやにしょげてしまったじゃないか。若い者のくせに、そんなことでどうなるのか」

「ですが、博士。博士のお言葉は、私から元気をうばい取ってしまいます」

「誰でも、最後まで勇気が必要だ。わしを見ろ。この通りの老人だが、どんな時にも、勇気をうしなわないで、たたかって来た。