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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

新田先生はおどろいたが、博士におくれないようにと、はしごを上っていった。

「おお、これは……」

新田先生は、又もおどろきの声をあげた。

それもそのはず、博士についてはいりこんだ魚雷のお尻みたいなものの中は、たいへんに広いのであった。

室内は、どこのかべも安楽椅子の背中のようにじょうぶにされ、ゆびでおしてみると、中には強い「ばね」がはいっていた。つまりかべ全体が――いや、かべだけではなく、天井もとびらも――安楽椅子の背中のようにつくられてあった。それから、やたらに電車のつり皮みたいなものがぶらさがっていた。それもかべだけではなく、天井にもついているし、床にもそれがついているのだった。

床についているつり皮! 新田先生は、こんなところにつり皮がついているなんて、じつにへんだとその時は思った。だが、それにはわけがあったのである。いずれ後にわかるが、この魚雷のお尻のようなものが、一体何であるかがわかると、何もわかってしまうのだ。

「おい、新田。何をしとる。早く来ないと見えなくなるぞ」

蟻田博士が呼ぶので先生は気がついてふりかえると、いつの間にか博士は、おくの壁についている丸窓のような形のとびらをあけ、もう一つおくの部屋にはいって、先生をさしまねいているのであった。