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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
先生は、そのことを言って望遠鏡から目をはなすと、博士は、
「これから、一日増しに、大きく見えて来るじゃろう。そうして、やがて地球に衝突する一週間ぐらい前になると、モロー彗星の一番太いところは満月ぐらいの大きさになるじゃろう。そのころには、人間のなかで、気の弱い奴らは、そろそろ妙なことを口走るようになるじゃろう」
博士は、気味の悪いことを言った。
「何とかして、地球人類を助けてやる方法はないものですかねえ」
先生は、むだなこととは知りながら、またしても、博士にそれを相談せずにはおられなかった。
「だめじゃ。よほどの奇蹟でもないかぎりは……」
博士の返事は、先生の考えていた通りであった。
二人が、話をしている時、暗中で、五つの赤い電球が、しきりについたり消えたりしはじめた。すると博士は、あわてて立上った。
ぴかぴかぴかと、しきりについたり消えたりする赤い電球は、何を知らせているのであろうか。
蟻田博士は、くらがりでもよく目が見えるらしく、立上ると、何かしきりに機械を廻している様子だ。
がらがら、がらがら。
高声器の中から、雑音が出て来た。空電がはいっているらしい。