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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

博士は、なぜ高声器を働かせているのか。

「博士、どうしたのですか」

と、新田先生はたずねた。

だが、博士はそれに答えなかった。その代りに、高声器の中からはげしい雑音に交って、何かしきりにわめきちらしているような人の声が聞える。

その声は、はじめ、たいへん小さかったが、しばらくすると、雑音以上に大きくなって来た。しかもその声が、日本語でしゃべっていることがわかった。

(誰だろう?)

先生は、くらやみの中で、きき耳を立てていた。その声は、大きくなったけれど、何を言っているのか、言葉の意味がはっきりしない。しかし、その中で、

「おい、聞いているか、日本人!」

という言葉が、くりかえされたことがわかった。

先生は、それを聞いている中に、言葉の調子から、一人の人物を、ふと、心の中に思い浮かべたのであった。それは外でもない。刑事の佐々のことであった。

(佐々刑事の声によく似ているがなあ)

と、先生が首をかしげている時、高声器からの声は、また一段と声をはり上げて、

「……火星のやつに、気を許すな。火星のやつは、どんなひどいことでも、平気でやるぞ。ゆだんするな。火星のやつは、ありゃ動物ではないんだ!」