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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
情心は、動物だけにあるもので、植物にはないのだ。この前火星人丸木は、銀座で平気で、人殺しをやったではないか。
(火星人は、植物にきまった!)
新田先生は、長い歎息をした。
(全く情心というものを持合わさない植物なればこそ、火星人は、あの通り残酷なんだ! ああ何という恐しいことであろう!)
新田先生は、たいへんな結論を引っぱり出したものである。
火星は植物の世界だ! 植物が、火星を治めているのである。ちょうど、人間が地球を治めているように! 植物がいばっている星! 植物が高い文化をもっている星! それが火星なのだ。
新田先生は、火星へ行ったこともなければ、火星の世界をくわしく研究したわけでもなかった。しかし、火星の上で植物が万物を支配している世界を想像してみることは出来た。ああ、それは何という風がわりな興味のつきない、恐しい世界であることか!
(ゆだんはならない! 火星は植物が治めているし、わが地球は人間が治めているのだ。この二つのものは、とても手を握ってつきあっては行けないであろう。火星人は、火星兵団を送って、もはや働きかけているのだ。ゆだんはならない!)