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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

また別の相談所では、海中へ逃げる方法を売っていた。それは……。

「海へ逃げこむのが一ばんよろしゅうございますよ」

と、別の相談所長は言うのであった。

「つまり、陸は安心がならないのです。陸はモロー彗星につきあたられると粉々に飛散ってしまうし、地上は、大地震の起ったように大ゆれにゆれるから、人間はつぶされてしまいますよ。そこへいくと、海の中にはいっておれば、ずっと安全ですな。どうです、おわかりかな」

その相談所長は、そう言って鼻をうごめかすのであった。

「どうもわかりませんが、先を話して下さい。海の中に逃げこむと言っても、どうすればいいのですか」

と、客は不思議がる。

「つまりその、潜水艦に乗っているのです。陸はいくらぐらぐらしようと、また海上にどんなに波が立とうと、海の中は、あんがい静かです。たとえぐらぐらしても、潜水艦なら、どんなにゆれても大丈夫です。上と下とがあべこべになっても、心配はありません。だから命が助かりたいと思ったら、ぜひ潜水艦の中へ、ひなんをなさるのですな」

「なるほど、潜水艦はなかなかいい思いつきですなあ」

と、客は言ったが、

「しかし、わたしたちを乗せてくれる潜水艦は、どこにいますかねえ」