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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
それはもちろん火星兵団の宇宙艇であった。
火星兵団の宇宙艇は、前と後とに、大きな魚の目のような窓がまぶしく光っており、艇全体が、薄桃色の光の霧のようなものでおおわれていた。形から言っても、ピート大尉のロケットを金魚ぐらいにたとえると、火星兵団の宇宙艇は、一メートル以上もある大きな鯉のようで、とても、くらべものにならなかった。宇宙艇はどんどんロケットに追いせまり、やがて、
「あっ!」
という間に、ピート大尉の乗ったロケットは、氷の塊が熱した鉄板の上に置かれた時のように、外がわからどろどろととけ出した。
どろどろととけ出したロケット!
全く不思議な光景だった。
ピート大尉の乗ったロケットは、見る見るうちに、空間から消えてしまった。
ロケットのあとをここまで追いかけた火星の宇宙艇は、任務を果したので、うしろへもどりながら、マルキ総兵団長のところへ電話で報告をして来た。
「ピート大尉のロケットは、完全にとけ終りたり」
怪人丸木は、それを聞いて、
「ふん、そうか。それで一先ず片づいた。火星まで行かれてたまるものか」
と、安心した。
しかし、安心はまだ早かった。
ピート大尉が火星兵団の宇宙艇にやられてしまったことが、まだ人間の世界には知れていないと見え、同じアメリカのところどころから、別のロケットが、火星の方に向いて出発