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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

先生は、すっくと立上った。一分間でも、こんなところにいては、身のけがれだと思った。

ところが、その時、思いがけないことが起った。それは、何であったか?

博士が、いきなり新田先生の手を、ぐっと握ったのである。

「あっ!」

新田先生は、びっくりした。博士の心をはかりかねて……。

その時、博士の唇が、先生の耳もと近くにあった。

「新田、だまって、わしについて来い!」

博士は、聞取れないほどの小さい声で先生の耳にささやいた。

「えっ!」

新田先生は、自分の耳をうたがった。

(新田、だまってついて来い!)

と、博士は言って、先に立った。

新田先生は、博士の言葉つきの中に、何かしら、いつもと違った感じを受取った。

博士は、部屋の片隅にある犬のくぐり戸のようなまるい形の扉をあけて、次の部屋へ這いこんだ。先生も、そのあとに続いた。

這いこんだところは、紫色の電灯がついていたが、実に奇妙なところであった。まるで、鉄管の中にはいったような感じがした。なぜまあ、このように変なところばかりが、あるのであろうか。

先生の前には、博士が、ごそごそと音をさせて這っていく。後から声をかけたくて、しかたがなかったが、博士におこられてはたいへんと、先生はがまんして、あとからついていった。